職場のトラブルQ&A ~時間外労働の端数処理~

最終更新日 2020年3月27日ページID 007018

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 当社の賃金は月給制で、時間外労働の割増賃金の計算に当たって、時間外労働時間を毎日30分単位で切り捨てて1か月分の算定を行っています。労働基準法上何か問題があるでしょうか。

 労働基準法第24条では、賃金は、原則として、その全額を労働者に支払わなければならないこと、同法第37条では、時間外労働、休日労働および深夜労働に対して、割増賃金を支払わなければならないことを定めており、毎日の時間外労働時間数については、四捨五入や切り捨てはできません。
 しかし、割増賃金計算上の端数処理について、次のような事務処理方法は、通達によりいずれも賃金支払の便宜上の取扱いと認められ、法違反としては取り扱われません。貴社で行っている「時間外労働時間を毎日30分単位で切り捨て」については、1の端数処理に反しているため法違反となります。毎日の時間外労働時間数を分単位で1か月分合計し、そのまま使用するか、この合計時間数を1時間単位で四捨五入する等の方法に改める必要があります。

  1. 1か月における時間外労働、休日労働および深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること
  2. 1時間当たりの賃金額および割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること
  3. 1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、2と同様に処理すること

解説

 たとえ5分や10分でも実際に労働した時間ですので、毎日の残業時間の端数を切り捨てることは、労働基準法違反となり認められません。1日単位ではわずかな時間でも、それが積み重なれば月に数時間になる場合もあり、その分の対価が全く支払われないことになると、労働者にとって不利益になってしまうからです。
 したがって、原則として、法定労働時間を超える労働に対しては、たとえ1分でも割増賃金を支払わなければならず、1回の残業ごとに分単位の集計をすることが必要です。しかし、上の1から3の方法は常に労働者の不利となるものではなく、事務簡便を目的としたものと認められるので、法違反としては取り扱わないとされています。
 なお、端数を常に切り上げて計算することは、法で定めた基準を上回る処理ですので、もちろん問題はありません。

 このほかにも、賃金の計算において生じる労働時間、賃金額の端数処理について、次のような取扱いが通達により認められていますので参考にしてください。

遅刻、早退、欠勤等の時間の端数処理

 5分の遅刻を30分の遅刻として賃金カットをするというような処理は、労働の提供のなかった限度を超えるカット(25分についてのカット)について、賃金の全額払いの原則に反し、違法です。ただし、このような取扱いを就業規則に定める減給の制裁として、労働基準法第91条の制限内(減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。)で行う場合には、全額払いの原則には反しません。

 1か月の賃金支払額における端数処理

 次の方法は賃金支払の便宜上の取扱いと認められるので、法違反としては取り扱わないこととされています。

  1. 1か月の賃金支払額(必要な控除等を行った後の額)に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払うこと
  2. 1か月の賃金支払額に生じた1,000円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うこと

参考 

 

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