高温と少雨に伴う農作業安全および農作物等の管理対策の徹底をお願いします
高温・少雨に伴う農作業安全および農産物等の技術対策について
令和2年9月1日
福井県農業総合指導推進会議
・稲刈や農作業時の熱中症対策として、こまめな水分・塩分補給と休憩をとる。
・大豆では、土壌表面が白く乾いている場合に畝間かん水を行う。
・露地野菜、花き、果樹については、温度が下がってからこまめなかん水を行う。
・施設園芸では、換気や遮光により施設内の温度上昇を抑制する。
〈気象の概要〉
本県では8月24日以降、猛暑日が頻発しており、気象庁の発表によると、福井地区では今後も最高気温が30℃を上回る日が続く見込み。
図 気温の2週間予報(福井地方気象台)
このため、下記の点に留意して、指導を徹底願います。
〈農作業中の熱中症対策〉
農業従事者の中には熱中症の具体的な症状が分からず、知らず知らずに熱中症にかかっている方が多くいる。特に高齢農業従事者は脱水しやすいため、こまめな水分と塩分の補給や休憩を周囲の方が協力して声かけを行う等、重点的な対策が必要である。
(1)日中の気温の高い時間帯を外して作業を行うこと
特に70歳以上の方は、のどの渇きや気温の上昇を感じづらくなるので、高温時の作業は極力避ける。
(2)作業前・作業中の水分補給、こまめな休憩をとること
・のどが乾いていなくても20分おきに休憩し、毎回コップ1~2杯以上を目安に水分を補給する。
・足がつったり、筋肉がピクピクする症状がみられたら、0.1~0.2%程度の食塩水(1リットルの水に1~2gの食塩)、スポーツ飲料、塩分補給用タブレットを摂取する。
・休憩時は、日陰等の涼しい場所で休憩し、作業着を脱ぎ、手足を露出して作業着を脱ぎ、手足を露出して体温を下げる。
(3)熱中症予防グッズを活用する
屋外では帽子、吸汗速乾性素材の衣服、屋内では送風機やスポットクーラーなどを活用する。
(4)単独作業を避ける
作業は2人以上で行うか、時間を決めて水分・塩分補給の声かけを行うなど、定期的に異常がないか確認し合うようにする。
(5)高温多湿の環境を避ける
・温度計、湿度計、暑さ指数(WBGT)計で、作業環境を確認する。
・作業場所には、日よけを設ける等できるだけ日陰で作業をする。
・特にビニールハウス等の施設内は風通しが悪く、早い時間から暑さ指数(WBGT)が高くなるため、風通しを良くしたり、断熱材を活用したりする。
〈技術対策〉
○水 稲
高温が続くため、登熟向上のために収穫間際まで、間断通水を実施する。また、胴割粒の発生が懸念されるため、出穂期以降の積算気温を参考に水分調査を実施し、適期刈取りに努め、刈り遅れないようにする。
○大 豆
登熟期間の乾燥により、粒の肥大が悪くなるため、葉のしおれが夕方になっても戻らないときや土壌表面が白く乾いているときを目安に畝間かん水する。かん水は一度に多くの水を入れるようにし、暗渠のあるところでは必ず暗渠を閉じ、畝間に水が行き渡ったら暗渠を開け、余分な水は速やかに排出する。
○野 菜
1 高温障害防止対策
(1)施設栽培においては、妻面、側面、天窓を開放し換気を十分に行うとともに、遮光により施設内温度上昇を抑制する。
(2)葉茎菜類ではチップバーン防止のため、薬剤防除時にカルシウム剤を混用する。
(3)果菜類では、不良果の摘果や若どりを行い、着果負担の軽減を図るとともに適切な施肥、液肥の葉面散布により樹勢を維持する。また老化葉を摘葉し蒸散を抑制する。
(4)トマトのホルモン処理は夕方温度が下がってから行い、3段花房以降はジベレリンを加用する。
(5)イチゴは、花芽を確認したうえで花芽分化苗を定植する。
2 土壌水分保持対策
(1)敷きわらや地温抑制マルチを活用し、地表面からの蒸発を防止するとともに、地温の低下を図る。
(2)栽培中の野菜は水分不足にならないよう地温が低下した夜間や早朝に、チューブかん水、スプリンクラー散水、畝間かん水等を集中的に行う。なお、畝間かん水すると除草剤の効果が低下するので、雑草が発生している場合はなるべく早く、作物にかからぬように茎葉処理型の除草剤を散布する。
3 病害虫防除
(1)高温乾燥状態ではアブラムシ類、ハダニ類等の発生が多くなるので防除を徹底する。
(2)トマト、ナス等は地温が高い場合には青枯病の多発が懸念されるので、敷きわらを厚く敷いて、土壌水分の安定と地温の低下を図る。
○花 き
1 水管理、土壌水分保持対策
日中、葉がしおれ、朝夕でもしおれが回復しないようであれば、土壌がかなり乾いており、生育、開花および品質に悪影響を及ぼすので、次の対策を講じる。
(1)水田花き
・かん水は地温が十分低下してから行う。
地温が高い時に行うと、かん水した水が熱くなり根を傷めるので、かん水は、十分地温が低下した夕方から夜間に行い、できるだけ短時間のうちに終えるようにする。日の出前には終了するようにする。
・水が不足する等して、かん水が十分にできない圃場では、日中に遮光資材を被覆して植物体からの蒸散と土面からの水分蒸発を極力抑制する。
(2)スイセン
・促成スイセンでは、遮光して気温25℃を目安に気温・地温の低下に努める。なお、散水は朝夕極力行う。
(3)施設花き
・土壌水分の蒸発抑制と地温上昇防止のため、ワラ等でマルチを厚めに行う。
・換気を徹底する。
・出荷が近いものでは、高温、かん水不足による品質低下を回避するため、日ざしが強い時間帯(10:00~16:00頃)に遮光を行う。
2 高温対策
高温期に播種、定植するものは次のことに特に留意する。
(1)地・気温の低下を図るため、定植日の5日程度前から定植後5日程度は遮光する。また、予めかん水し、定植時の土壌水分を十分に保つとともに、定植後のかん水を必ず行う。
(2)播種後の管理は雨よけ下で行い、遮光し、温度の低下を図る。播種箱は風通しの良いところで管理する。
3 病害虫防除
高温・乾燥によりダニ類、アブラムシ類、スリップス類の被害が多くなるので防除を行う。また高温で植物体がしおれていると薬害を受けやすいので、朝夕の気温が低く、植物体のしおれがない時間帯に農薬散布を行う。
○果 樹
1 土壌乾燥防止
草との土壌水分の競合を避けるため果樹園の下草をていねいに刈り取り、刈り取った草は樹冠下に敷き土壌表面からの蒸散を防ぐ。
2 かん水
真夏の晴天日には果樹園から1日当たり5㎜の水分が失われる。土壌が含むことのできる水分量(深さ30㎝の土層の有効水分量)は砂土で10㎜、壌土で30㎜、埴土で50㎜であることから、砂土では晴天日が2日、壌土では6日、埴土では10日でかん水を行う。砂土や砂壌土では1回のかん水量を少なくしてひんぱんに、埴土、埴壌土ではたっぷりかん水する。
また、幼木は根が少なく、乾燥に特に弱いので株元にたっぷりかん水する。
3 病害虫防除
ナシ、ブドウなどでは乾燥するとハダニの発生が多くなるので、発生状況を確認し防除する。
○畜 産
1 畜舎管理
(1)舎内の換気に気をつけ、送風機や換気扇の活用を図るとともに、状況に応じ、屋根や畜舎周辺への散水、屋根への石灰塗布、軒先等におけるスダレや寒冷紗の設置により舎内温度を下げる。
(2)残飼の腐敗に注意し、除ふん、畜舎の清掃など環境の改善に努める。
2 乳牛、肉用牛
(1)給飼は朝夕の涼しい時期に行い嗜好性の高い良質の飼料給与に努める。
(2)こまめに給水器の洗浄を行い、冷水を十分に与える。状況に応じサプリメントなどを利用してバランスのとれたミネラルの補給やビタミン類の添加を行う。
3 豚、鶏
(1)密飼いを避け、散水や噴霧により、畜舎内気温の低下や体温上昇の防止を図る。
(2)油脂などの栄養価の高い飼料の給与やビタミン類の補給により、体力低下の防止に努める。
4 飼料作物
(1)牧草類
牧草類については、降雨まで刈り取りを延期する等、株の枯死防止に努める。
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