農作物や園芸施設等の雪害防止対策について
農作物や園芸施設等の雪害防止対策について
令和4年12月14日
福井県農業総合指導推進会議
平成30年2月に続き、今年1月の大雪により県内でハウスが425棟倒壊しました。
被害の特徴としては、短期間にまとまった量の積雪(100㎝以上)があり、除雪が追いつかなかったこと、風等でハウス屋根の積雪量の偏り(偏荷重)による倒壊が見られたこと、ビニールを外していたハウスでも骨材に着雪した雪で倒壊したことの3点が挙げられます。
この結果を踏まえ特に次の3つの対策を重点的に行いましょう。
対策1 降雪前に大雪に備えてハウスの補強や融雪装置の点検等をしておく。最新の気象情報を確認し、大雪をもたらす雲の動きに警戒する。
対策2 真上からの負荷による倒壊防止に有効な中柱の設置に加え、斜めの支柱や補強資材によ り、屋根の積雪量の偏り(偏荷重)への対策を行う。
対策3 ビニールを外していたハウス(水稲育苗ハウス)でもパイプに着雪が見られる場合は、その都度こまめに除去する。
「雪害対策マニュアル」を改訂しましたので、詳しくは下記ページをご確認下さい。
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/021037/setugaibousi/setugaimanyuaru.html
<農作業安全>
・施設等の雪害防止作業や除雪作業を行う時は、転倒、足場や高所からの転落等に注意する。冬季は日が短く寒いことから、急いで作業を進めようとすると事故を起こしやすくなるため、複数人数で時間に余裕をもって作業を行うよう努める。
<ハウスビニールの除去>
・耐雪型のハウス以外は、積雪前に速やかにビニールをはずしておく。
<ハウス園芸>
1 積雪前の対策
(1)ハウスの補強
・事前にハウスを補強するための丸太や竹等をハウス内に持ち込んでおく。
・支柱が土の中に沈まないようブロックなどを敷き、片荷重で倒壊しないように支柱や斜材でハウスを補強しておく(図1)。
・T字金具やジャッキ等を用いて支柱をハウスに固定しておくと、雪の重み等で沈んだ場合の調整が可能となる。
・雪対策と併せて強風に備え防風ネット等の設置、点検や補強を行う。
図1 ハウスの雪害対策
T字金具 ジャッキ付きの台
(2)融雪・除雪の準備
・ハウス側面部に堆積した雪を融雪するために、融雪装置が設置してあるハウスは散水ノズルの詰まりを点検しておく。
・ハウス側面部に浅い融雪溝用の水路を整備すると融雪効果が高い(図1)。この場合、ハウス内に融雪水が浸水しないように留意する。
・除雪機を用いる場合は、作業がスムーズにできるようあらかじめハウス周囲の障害物を取り除き通路を確保しておく。
2 積雪後の対策
(1)屋根雪の滑落促進
・ビニールハウス等では、低温日に雪が屋根面に氷着することにより屋根雪の滑落を阻害するので、内張りカーテンを開放して、暖房によりハウス内を温める。
・積雪による被覆資材の弛みが直管パイプに引っかかり屋根雪の滑落を阻害するので、積雪が多くならないうちに除雪する。特に、天窓は積雪しやすいので注意する。
ハウスを覆う位の積雪があった場合、肩の部分から除雪を開始する。
(2)着雪防止・沈降圧防止
・被覆資材を除去してあるパイプハウスでは、積雪によりハウス肩部や腰部のパイプ等を埋没したままにしておくと、沈降圧によって変形、破損等の原因になるので、パイプ部を早めに掘り出す。
<大麦>
・融雪水が速やかに排水されるよう、積雪前に排水溝、排水口(水尻落とし口)を確認し、排水溝に落ちた土をさらうなど手直しする。
・枕地の畝では、畝を切って圃場内部から直接排水口に繋がる排水溝を追加する。
・排水口(水尻落とし口)の手直しでは、排水口を必ず額縁排水溝の底面より低くする。
(水田排水口は水稲の水管理用で高いことが多く、一般には切り下げる必要がある)
<果樹>
(1)せん定
・せん定をしていない樹は、枝折れの危険性が高まるため、積雪までにせん定作業を進めておく。少なくとも、側枝が混み合っている部分や下垂した枝だけでも切除する。
(2)ウメ、カキなど立木栽培の管理
・幼木は結束して樹冠を縮めるか、枝吊りを実施する(図2)。
・成木は主枝などの大枝に下から支柱を当てがい、積雪に備える。
(3)ナシ、ブドウなど棚栽培での管理
・少ない雪でもバランスを崩して倒壊する危険性があるため、せん定で枝数を減らし雪が棚に積もりにくくするとともに、降雪までに中支柱を入れて棚を補強する。
(4)ハウス栽培での管理
・ブドウやイチジク等でハウスを利用した果樹栽培が増加している。<ハウスビニールの除去>、<ハウス園芸>の項を参考に万全の対策を行う。
(5)園内の見回り、雪の払い落とし等
・降雪中や降雪後は園内を見回り、枝に付着した雪を払い落とし、樹冠下の積雪を踏圧する。
・雪に埋まった状態で、樹や枝を放っておくと、融雪時に雪中で骨格枝が沈降して裂開するので、速やかに掘り出す。
図2 幼木の積雪対策
<畜産>
・飼料の在庫確認と購入手当を早めに行い、飼料の品質が急変しないよう、粗飼料等も含めて給与する。
・畜舎は換気が不十分になるので換気扇、窓の開閉をこまめに実施して、畜舎環境の悪化により生産性が低下しないようにする。
・豪雪が予想される場合は、予め畜舎等大型建物の除雪計画を立てる。また畜舎軒下等においてある機械類は落雪による破損防止のため、できる限り屋内へ収納する。
・生乳、肉牛、鶏卵等家畜・畜産物の集出荷経路の確保に万全を期す。
アンケート
より詳しくご感想をいただける場合は、engei@pref.fukui.lg.jpまでメールでお送りください。
お問い合わせ先
園芸振興課
電話番号:0776-20-0427 | ファックス:0776-20-0650 | メール:engei@pref.fukui.lg.jp
福井市大手3丁目17-1(地図・アクセス)
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