犯罪収益移転防止法における 
 古物商の義務等について

 

 

  1.犯罪収益移転防止法の概要

 

  

  2.貴金属等取引業者の義務

    【貴金属等とは】

    【貴金属等取引業者とは】

    【貴金属等取引業者の義務】

    【貴金属等取引業者に義務が課される背景】

 

 

  3.本人確認

    【本人確認に必要な書類と確認方法】

 

 

  4,本人確認記録の作成・保存

 

 

  5.取引記録等の作成・補族

 

 

  6.疑わしい取引の届出

    【疑わしい取引の届出をすべき場合とは】

    【疑わしい取引の届出先】

    【疑わしい取引の届出内容】

    【疑わしい取引として届け出た情報の取扱い】

 

 

  7.古物営業法における義務との比較 

    【義務の有無の比較】

    【本人確認方法の比較】

    【本人確認記録・取引記録の作成・保存義務の比較】

    【申告/疑わしい取引の届出義務の比較】

 

  


 


1.犯罪収益移転防止法の概要


2.貴金属等取引業者の義務

 

【貴金属等とは】

「貴金属等」とは、以下の物をいいます。

 

@ 金、白金、銀及びこれらの合金(貴金属)

A  ダイヤモンドその他の貴石、半貴石及び真珠(宝石)

B @及びAの製品

 

【貴金属等取引業者とは】

「貴金属等取引業者」とは、上記の「貴金属等」の売買を業として行う者です。よって、古物商が

上記の「貴金属等」を取り扱う場合には、本法における「貴金属等取引業者」に該当し、本法の義

務を履行しなければなりません。

 

【貴金属等取引業者の義務】

貴金属等取引業者には、以下の義務が課されることとなります。

 

○ 本人確認(200万円を超える現金取引に限る)

○ 本人確認記録の作成・保存(200万円を超える現金取引に限る)

○ 取引記録の作成・保存(200万円を超える現金取引に限る)

○ 疑わしい取引の届出

 

【貴金属等取引業者に義務が課される背景】

《貴金属等取引業者と犯罪収益》

貴金属等は財産的価値や流動性が高く、世界のいずれの地域においても多額の現金との交換を容易

に行うことができるほか、現金に比べ形状が小さいことから持ち運びが容易であるなど、犯罪収益の

移転に利用されるリスクが高いといえます。

過去犯罪事件捜査等において把握した事例を見ても、犯罪行為により得た収益を使って貴金属等を

購入している事例が多く見られます。

これらの事例について見ると、自身の装飾品として購入する場合や、異性へのプレゼントとして購

入している場合などが多く、中には横領したお金で800万円相当ものの宝石などを女性にプレゼン

トしていた悪質な事例などもあります。

こういった取引の場合は、貴金属等取引業者においてその人物とは見合わない取引と感じられたと

いう話を聞くことが多くあります。

また、貴金属等を取り扱う古物商においては、犯罪行為により得た貴金属等を売って現金化してい

るケースが多く、殆どの場合には偽名による取引が行われています。また、取引の際には、数カ所に

分散して取引を行う、何名かに分けて取引を行うなどの手口が多く見られます。

 


 

3.本人確認

 

貴金属等取引業者は、

○ 200万円を超える現金取引

を行う際には、運転免許証等の公的証明書などにより顧客の本人特定事項(顧客が個人である場合は

氏名、住所及び生年月日、顧客が法人である場合は名称及び本店又は主たる事務所の所在地)を確認

する必要があります。

  ただし、既に本人確認を行ったことのある顧客と取引する場合には、改めて本人確認を行う必要が

ない場合もあります(下記参照)。

なお、現に取引を行っている相手方が本人確認が必要な取引を行う際に本人確認に応じないとき

は、これに応じるまでの間、当該取引に係る義務の履行を拒むことができます。

 

 





【本人確認に必要な書類と確認方法】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 



.本人確認記録の作成・保存

 

貴金属等取引業者は、

○ 本人確認を行った場合

には、直ちに本人確認記録を作成し、7年間保存しなければなりません。

本人確認記録の様式について、法令の定めはありませんが、参考様式については<別表1>を参照

下さい。

なお、個人取引であるか法人取引、代理人取引であるか等の取引の方法や、本人確認書類の提示を

受けたか、送付を受けたか等の本人確認の方法により、記録すべき事項が異なります。

 

〈注〉

※ 添付資料を本人確認記録に添付するとき、又は本人確認書類の写しを本人確認記録に添付する

 ときには、当該書類又はその写しに記載がある事項については、本人確認記録への記載を省略す

 ることができます。

  提示を受けた本人確認書類の写しを本人確認記録とともに7年間保存するときには、本人確

 認書類の提示を受けた時刻の記載も省略することができます。

※ 本人確認記録に変更等があることを知ったときには、当該変更事項を本人確認記録に付記する

 必要があります。その際、既に本人確認記録に記載されている内容を消去してはなりません。


 

5.取引記録の作成・保存

 

貴金属等取引業者は、

200万円を超える現金取引

を行った場合には、直ちにその取引に関する記録を作成し、7年間保存しなければなりません。

 

取引記録の記載事項は以下のとおりです。なお、取引記録の様式について、法令の定めはありませ

ん。

○ 口座番号その他取引等に係る本人確認記録を検索するための事項(本人確認記録がない場合に

 は、氏名その他の顧客又は取引等を特定するに足りる事項)

○ 取引又は特定受任行為の代理等の日付、種類、金額

6.疑わしい取引の届出

 

【疑わしい取引の届出をすべき場合とは】

貴金属等取引業者は、

○ 貴金属等の売買において収受した財産が犯罪による収益である疑いがある

  顧客がマネー・ローンダリングを行っている疑いがある

と認められる場合には、疑わしい取引の届出として、行政庁に届出を行わなければなりません。

  貴金属等を取り扱う古物商がどのような場合に届出を行うべきかについては、<別表2>のとおり

「古物商(宝石・貴金属等取扱事業者)における疑わしい取引の参考事例(ガイドライン)」が定め

られているので、参考にしてください。

 

【疑わしい取引の届出先】

届出先の行政庁は下表のとおりです。なお、貴金属等取引業者は、届出を行おうとすること又は行

ったことを顧客又はその関係者に漏らしてはなりません。

 

貴金属等取引業者

宝石等の売買業務を行う場合

経済産業省

製造産業局日用品室

貴金属等の売買業務を行う場合

経済産業省資源エネルギー庁

資源・燃料部鉱物資源課

古物営業法の許可を受けた事業者が古物である貴金属等の売買業務を行う場合

各都道府県公安委員会

 

疑わしい取引の届出内容】

  貴金属等取引業者が疑わしい取引の届出を行う際に必要な記載事項は以下のとおりです。なお、届
出を行う様式は、法令(施行規則)により
<別表3>のとおり定められています。

 ○ 届出を行う事業者の名称及び住所

 ○ 届出の対象となる取引が発生した年月日及び場所

 ○ 届出対象取引が発生した業務の内容

 ○ 届出対象取引に係る財産の内容、及び顧客又は現に取引を行った者の氏名、住所

○ 届出を行う理由

 

【疑わしい取引として届け出た情報の取扱い】

疑わしい取引として届けられた情報の秘密保持は徹底されており、特別に権限を付与された者のみ

がアクセスできる仕組みとなっています。また、捜査機関等に提供された場合も届出者の保護は徹底

され、当該情報は捜査記録や司法書類には一切記録されないことになっていますし、届出が端緒とな

って事件が検挙されたことも公表されません。つまり犯人には、当該届出が端緒となって捜査が行わ

れたことなどは判らない仕組みになっています。


【疑わしい取引の届出方法】

疑わしい取引の届出方法には、@文書による届出方法と、A届出作成プログラムを利用した届出方

法があります。

 

 

@ 文書による届出方法

1 届出様式の入手方法

 次の方法により、届出様式を入手してください。

○ 警察庁ホームページ(http://www.npa.go.jp)の以下の場所から届出様式をダウンロー

 ドして使用してください。

 

URL http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/index.htm

 

(マネー・ローンダリング対策、JAFIC(警察庁刑事局組織犯罪対策部犯罪収益移

 転防止管理官)のページ)

 

  インターネットが利用できない方は、下記宛に書式の郵送を申し込んでいただければ郵送

 にて送付いたします。

 

郵送先:〒100-8974

東京都千代田区霞ヶ関2丁目1番2号

警察庁 刑事局 組織犯罪対策部 犯罪収益移転防止管理官

「届出様式申込み」係

 

※ 必ず返信用封筒(長型3号封筒)を同封してください。

また、返信用封筒には80円切手を貼って返信の宛先を記入してください。

 

 

 

2 届出書の作成

入手した届出様式に疑わしい取引に関する必要事項を記入して、届出行政庁宛に持ち込むか又

は郵送してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


A 届出作成プログラムを利用した届出方法

 

届出作成プログラムを利用して疑わしい取引の届出を作成し届出を行う方法です。

この方法には届出を電子データで作成しフロッピーディスクなどに保存して郵送又は持込をする

方法と直接インターネット経由で届け出る方法とがあります。

以下、T〜Vまで届出の流れに沿って説明します。

 

【T.届出作成プログラムの入手】

次の方法により届出作成プログラムが入手できます。

 

  インターネットで届出作成プログラムをダウンロードする方法

・ 警察庁ホームページ(http://www.npa.go.jp)の以下の場所から事業者ID発行申請書をダ

 ウンロードして事業者ID及びパスワードの発行を郵送で申し込んでください。

 

URL http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/index.htm

 

(マネー・ローンダリング対策、JAFIC(警察庁刑事局組織犯罪対策部犯罪収益移転

 防止管理官)のページ)

 

郵送先:〒100-8974

東京都千代田区霞ヶ関2丁目1番2号

警察庁 刑事局 組織犯罪対策部 犯罪収益移転防止管理官

「事業者ID発行申込み」係

 

※ 必ず返信用封筒(長型3号封筒)を同封してください。

また、返信用封筒には80円切手を貼って返信の宛先を記入してください。

 

・ 指定された届出作成プログラムダウンロードページから届出作成プログラム等をダウンロー

 ドしてください。

 

○ 郵送により届出作成プログラム(CD−ROM)を入手する方法

前記の要領で事業者用ID及びパスワードの発行申請を申し込んでください。この際、様式は

指定していませんが、届出作成プログラム(CD−ROM)の郵送交付を希望する旨の記載と申

請者(事業者)名、住所(所在地)、プログラムの送付先、担当者の連絡先などを記載した書類

を同封し郵送で申し込んでください。

 

郵送先:〒100-8974

東京都千代田区霞ヶ関2丁目1番2号

警察庁 刑事局 組織犯罪対策部 犯罪収益移転防止管理官

「届出作成プログラム申込み」係

 

※  必ず返信用封筒(角型2号封筒(A4大))を同封してください。

また返信用封筒には簡易書留分の切手を貼付し返信の宛先を記入してください。

CD−ROMを送付できるように返信封筒をご用意ください。)

 

(注)届出作成プログラムの配布は原則としてインターネットでのダウンロードによるものとして

  います。郵送による交付は特段の理由がある場合のみとさせていただきますので、郵送による

  必要がある場合は事前に確認をお願いします。


 

 

 

【U.届出作成プログラムの導入】

入手した届出作成プログラムを使用するパソコンにインストールして使用できるようにしてくだ

さい。

 

【V.届出書の作成と届出】

届出作成プログラムを使用して、届出様式に疑わしい取引に関する必要な事項を入力し届出書を作

成します。

○ インターネットを利用した届出

  届出作成プログラムで作成した届出を下記URLから送信します。

 

総務省電子政府の総合窓口(e-Gov)

URL http://shinsei.e-gov.go.jp/menu/smenu.html

 

  事業者用ID及びパスワードを使用して届出画面にログオンしてください。

  画面に従って届出を行います(この時、送信されるデータは暗号化されています。)。

 

○ 電子媒体に記録して届出

  届出作成プログラムで作成した届出様式をフロッピーディスクなどの電子媒体に保存します

(電子媒体に保存する際、記録は暗号化されます。)。

  郵送又は持込みにて届出行政庁宛に提出します。

  この際、様式第4号の「フレキシブルディスク提出表」は保存時自動的に作成されフロッピ

 ーディスクに記録されていますので、再度作成したり別に作成して提出する必要はありません。

 従って、フロッピーディスク等だけを提出していただければ結構です。

 


 

9.古物営業法における義務との比較

 

古物営業法における義務と犯罪収益移転防止法における義務は、義務の有無や義務の内容に違いが

あります。

 

【義務の有無の比較】

古物営業法では、法の目的が「窃盗その他の犯罪の防止」及び「被害の迅速な回復」であることか

ら、主に「古物が不正品か否か」に着目しています。したがって、古物を買い受ける際における本人

確認義務や警察官への申告義務はありますが、古物を顧客に売却する際における本人確認義務や警察

官に対する申告義務はありません。一方、犯罪収益移転防止法は、顧客が古物を購入する場合の現金

にも着目していることから、古物を買い受ける際だけではなく、古物を売却する際にも、本人確認義

務(ただし、200万円を超える現金取引に限る)及び疑わしい取引の届出義務が課されています。

 

 

 


【本人確認方法の比較】

古物営業法で本人確認が必要とされるのは、1万円以上で古物を買い受ける場合(現金取引には限

らない)ですが、犯罪収益移転防止法で本人確認が必要とされるのは、200万円を超える取引(買

受け時及び売却時の両方が対象)で、かつ、現金による取引の場合です。

本人確認の方法についても、古物営業法と犯罪収益移転防止法では規定が異なるので、両方の法律

を満たす方法で本人確認するよう注意が必要です。

なお、個人の顧客と取引を行う場合で、対面により本人確認が完了する場合に関する、古物営業法

と犯罪収益移転防止法の本人確認規定の比較は下表のとおりです。犯罪収益移転防止法の規定の方が

厳しいことから、同法に規定する方法で本人確認を行う必要があります。

 


 

【本人確認記録・取引記録の作成・保存義務の比較】

本人確認記録の作成・保存義務、及び取引記録の作成・保存義務についても、下表のとおり、古物

営業法と犯罪収益移転防止法とでは、記録が必要な項目及び保存期間が異なります。(なお、犯罪収

益移転防止法では、「本人確認記録」と「取引記録」が区別されていますが、古物営業法においては、

両者は区別されておらず、「帳簿等」として一括して規定されていることから、ここでは、犯罪収益

移転防止法における「本人確認記録」と「取引記録」を一括して記載しています。)

 

 

 


【申告/疑わしい取引の届出義務の比較】

古物営業法では、警察官に申告する場合の方法については何ら規定されていませんが、犯罪収益移

転防止法においては、届出の様式が法令(施行規則)で定められています。

 

 

 

 

 

 

 

お問い合わせ先

 

福井県警察本部 生活環境課 営業係

電話:0776−22−2880(内線3172・3173)