職場のトラブルQ&A ~社長が団交に応じない~

最終更新日 2009年2月19日ページID 005822

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 社長から経営が苦しく賃金を引き下げたいとの話があったので、私を含め5人の社員が不安になり、会社と交渉するため労働組合を結成しました。その後、社長に労働組合の結成を通知するとともに、賃金の現状維持について団体交渉を申し入れました。ところが、社長は忙しいとの理由で、なかなか団体交渉に応じてくれません。ようやく1か月後、団体交渉が行われたのですが、会社側を代表して出席した人事部長は「社長でないと答えられない」との発言を繰り返すだけです。どうすればよいでしょうか。

 労働組合が労働条件の維持改善を求めて使用者と行う話合いを団体交渉といいます。労働組合法では、使用者は雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなく拒んではならないと規定しており、団体交渉を正当な理由なく拒むことは不当労働行為にあたるとして禁止しています。
 また、団体交渉において、人事部長などの肩書きをもっていても決定権限がない者を出席させ見せかけだけの交渉を行う場合や、十分な説明や資料の提示をすることなく拒否回答をするなどの不誠実な団体交渉を行うことも不当労働行為になり、禁止されています。まずは、そのことを会社に強く申し入れてください。
 それでも会社が団体交渉を拒否したり不誠実な団体交渉を行った場合には、労働委員会に不当労働行為の救済申立ができます。
 また、団体交渉を重ねても合意点が見い出せない場合には、労働委員会が行うあっせんの利用をご検討ください。

解説

 労働組合が労働条件の維持改善のために使用者と交渉することは、憲法第28条で保障された労働者の権利であり、これを具体的に保障するために、労働組合法第7条第2号は、使用者が労働組合との団体交渉を正当な理由なく拒むことを不当労働行為として禁止しており、問のような不誠実な対応についても実質的な団交拒否にあたるとされています。
 使用者が誠実に団体交渉を行っているかどうかは、次の各項目にしたがって検討されることが大切です。

 譲歩意図
 話し合いをする前提には一定の譲歩意図の存在が不可欠である。
 回数・時間
 実質的な論議のためには交渉事項に応じ、相当な回数・時間をかけた話合いが必要である。
 出席者
 責任ある説明・回答をなすためには相当な地位にある会社側担当者の出席を要する。
 期日の設定
 要求に対する回答期日や団体交渉期日を相当な理由なしに引き延ばすことは許されない。
 提案・対案
 団体交渉は一連のプロセスにほかならないので、提案・対案の内容自体が直接問題となることは少ないが、それへの固執ということになると不誠実な交渉態度と解される余地がでてくる。
 説明・説得
 使用者は譲歩義務を有しないので、提案への固執はそうする相当な理由を明らかにしさえすれば不誠実とはみなされない。その意味では、十分な説明・説得をしたかが決定的である。
 企業情報の開示
 適切な説明、説得のためには関連資料・情報の開示も不可欠とされる。
 書面化
 交渉の結果合意にいたった事項について書面化することが要請される。
 行き詰まり後の事情変更
 使用者が誠実に交渉した結果、団体交渉が行き詰まりにいたったならば、それ以上団体交渉する義務はない。しかし、交渉を再開すべき相当な事情(変更)があれば別である。
(道幸哲也『労働法実務事典』旬報社、486ページ参照) 

参考

 

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